胃の役割〜解剖学・生理学〜
胃の解剖学的特徴
- 食道からつながる袋状の内臓で、出口は十二指腸と繋がる。
- 左にC字型に大きく膨れた後、右側へ細くなる。
- 食べ物が入ると、容積は1.5Lの大きさになる。
- 平滑筋と呼ばれる筋肉が外側を包んでいて、筋肉が収縮すると蠕動運動を行う
- 内側は胃小窩と呼ばれるくぼみがあり、胃液を出す2種類の胃腺がある。
蠕動運動とは、内臓の筋肉が太さや長さを変え
内容物を運んでいく運動。(胃の他にも、小腸や大腸でも行われる。)
胃の生理学的特徴
- 食べ物と胃液が混ざり合うように、自律神経がコントロールして蠕動運動を行う。
- 蠕動運動は交感神経の働きで弱められ、副交感神経の働きで強められる。
他に、GIP (胃抑制ぺプチドホルモン)は、蠕動運動を弱める。 - 2つの胃腺から4種類の胃液を出して、食べ物を吸収しやすいように消化する。
胃の仕事
胃酸の効果で殺菌と消化を起こす。
- 食べ物の3〜6時間滞留させることで、胃液が働きかける時間を確保する。
- 塩酸(塩酸)による強力な殺菌作用で、消化不良を防ぐ。
- 胃酸はペプシンをぺプシノーゲンへ変化する。
ペプシノーゲンは、タンパク質を小さいペプチドへ消化(分解)する。 - 胃酸は、鉄・亜鉛・マグネシウムなどのミネラル類にイオン化と呼ばれる反応を起こし
小腸で吸収できる形に変化させる。
胃酸分泌と同時に、ムチンが分泌されることで、
胃酸の分解作用から胃は保護される。
胃の働きが低下すると、、、
胃酸の量が低下してしまう。
- 食べ物の殺菌作用が弱まり、下痢や瀕便となってしまう。
- ミネラルがイオン化ができないため、鉄や亜鉛が吸収できない。
- ペプシンからペプシノゲンへの変化が起こらず、タンパク質の吸収が低下する。
胃酸分泌の低下理由
・食事中の大量の水やお茶の摂取
・頻繁なカフェイン・アルコールの摂取
施術における胃酸分泌不足の問題点
ケガの組織回復や炎症収束が遅れてしまう。
正しい殺菌を行われなかった食べ物は、
消化不良やその後の吸収阻害を起こす。
細胞の再生を遅らせ、炎症を長引かせる。
再生後も、組織強度が不十分であるケースが多い。
他にも、練習や試合中にエネルギーが不足して、
トレーニング効果やパフォーマンスを低下する。
トレーニングにおける胃酸分泌不足の問題点
トレーニング後に再生が起きない。
トレーニングに最重要なタンパク質は、胃酸分泌不足によって吸収量が低下してしまう。
タンパク質不足は、
筋肉の再生不足、神経組織の伝達不良を起こします。
損傷した筋肉は再生できず、全体の筋肉量は減少。
神経の発達も起こりにくいため、動作学習やフォームの習得も難しくなります。
胃潰瘍が起こる仕組み
ストレスが、胃酸の分泌を強めてしまう。
ヒトは、肉体的・精神的ストレスを受けた時に、
副腎皮質から糖質コルチコイドと呼ばれるホルモンを分泌します。
このホルモンは様々な作用があり、その内一つは
『胃酸の分泌量を増加させて、
ムチンの分泌量を減少させる』
これは、胃に食べ物の有無に関わらず起きるため、
保護されていない空の胃に、
胃酸が分泌されてしまう状態
を引き起こします。
そのため、胃の内側が胃酸によって溶かされてしまい、穴が開いて胃潰瘍が発生します。
まとめ
消化機能の最後の砦が、きちんと働く生活習慣を
胃酸分泌の低下は、
必要なもの吸収しにくく、
不要なものを吸収しやすくしてしまいます。
食べ物は、正しく消化吸収されて
初めて正しい効果を発揮します。
胃が無理なく働くための
生活を心がけましょう!!