コレクティブエクササイズ といったトレーニングをご存知でしょうか?
近年、重要性が高まっているトレーニングです。
本記事では、コレクティブエクササイズの効果や目的をわかりやすく解説します。
コレクティブエクササイズ とは?
体を鍛えるではなく、体を是正するエクササイズ
コレクティブとは、英語由来の言葉であり実際の表記は『corrective』です。
日本語では、『修正する/是正する』と翻訳されます。
つまり、 コレクティブエクササイズ は日本語に変換すると『是正する運動』です。
では、体の何を是正する運動なのでしょうか?
コレクティブエクササイズ とムーブメントストラテジー
コレクティブエクササイズは動作改善に必要なエクササイズ
結論からお伝えすると、コレクティブエクササイズは、
『人間の動作を是正するための運動』です。
人は何か動作をする時に、ムーブメントストラテジーと呼ばれる物を自然と脳で形成しています。
このムーブメントストラテジーとは、後述で詳しく解説しますが、
簡単には、人がどのように動くか決める際に、
自分の体の状態と周囲の環境を統合して決定するプロセスを指します。
コレクティブエクササイズに重要な4要素
ヒトの動きは、可動性と安定性のバランスが重要
ヒトが動く時に、必ず『固定される点』と『動く点』の2点があります。
例えば、
肘を曲げる時には、肩から肘までの範囲が固定され肘から手首までが動きます。
お辞儀をする時は、足首から太ももまでが固定され、骨盤から上半身が動きます。
このように、ヒトは動作をする時には、必ず固定される関節と動く関節が生まれます。
これらを管理する能力が『安定性』と『可動性』と呼ばれ、大きく4段階あります。
関節運動コントロールの基本要素 | |
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関節中心化 | 関節の骨同士の接触面積が最大化されているかという点。 インナーマッスルの機能低下すると、関節の中心軸がずれてしまうため、本来関節が持つ動きが出来ない状態になります。 |
可動性 | 一つの関節で、筋肉の柔軟性や神経に問題があると、本来動ける幅よりも関節の動きが狭まってしまうケースがある。 |
静的安定性 | 立ち姿やデスクワークなど、静止している状態での姿勢を保つ力 |
動的安定性 | 歩行や階段を昇る動き、物を持ち上げる動きなど、動作をしている時に姿勢を保つ力 |
ムーブメントストラテジーが生成されるプロセス
目的のためにヒトは動く
ヒトが動作を起こすには、必ず目的があります。
例えば、トイレに行こうとすれば、立ち上がり、歩き、ドアを開け、便座に座ります。
しかし、この時みなさんは、
『どのように立ち上がろう?』
『どれくらいの歩幅で歩こう?』
『どのようにドアを開けよう?』
などを考えて行動しているでしょうか?
ヒトはとても賢く、『トイレに行こう』という目的が決まれば、
過去の経験と、現在の体の状況を照らし合わせて、
立ち上がり方やドアの開け方を運動パターンとして決めます。
一つ一つの関節をどのように動かすべきか?などは考えません。
この無意識に作られる運動パターンをムーブメントストラテジーと呼びます。
もちろん意識的に動かしている範囲もありますが、
姿勢の保ち方などは、ほぼ無意識に作られたムーブメントストラテジーを元に動きます。
しかし、このムーブメントストラテジーは、その時の環境で変化します。
床にレゴブロックが散乱していればそれを避けるように忍び足になるでしょう。
普段と違うトイレであれば、座る深さも異なります。
ただ、このような変化も脳は無意識のうちに確認・処理を行い対応しています。
コレクティブエクササイズがムーブメントストラテジーを変える
正しい運動パターンをトレーニングで学ぶ
ヒトが、生活の中で痛みを抱えている時や、スポーツの結果で悩む時は、
そのヒトの運動パターン=ムーブメントストラテジーに問題があることが多く考えられます。
ムーブメントストラテジーが作られる要素の内、
周囲の環境は、その時々によって変化するため事前に対応することが難しいです。
しかし他の要素は、コレクティブエクササイズを行うことで
現在の体の状況を、より動きやすく、より安定しやすい体に変えます。
また、経験値としてを、トレーニングの中で、体に負担の少ない運動パターンを学びます。
まとめ
腰痛の方は、腰痛になってしまう運動パターン
肘が痛い野球選手は、肘が痛くなってしまう投球パターン
飛距離が出ないゴルファーは、飛距離が出ないスイングパターン
これらのムーブメントストラテジーを自然と作り出してしまっています。
このような方々には、
コレクティブエクササイズを普段の生活・トレーニングに取り入れることで、
自然と運動パターンに変化が生まれます。
皆さんも今日から出来るコレクティブエクササイズを探して取り組みましょう!